仏沼の草花 10

仏沼の草花 Vol.10

エゾナミキソウ・ハンゲショウ・モウセンゴケ・ミズトンボ

エゾナミキソウ
蝦夷浪来草

シソ科タツナミソウ属

37-1.jpg37-2.jpg写真 久保清子

 北海道、青森県、中部地方の一部の湿地に生える草丈10〜40cmの多年草です。青森では太平洋側によく見られますが開発にともなう湿地の減少で絶滅が心配されています。茎は四角で上部の葉の脇に長さ2cmほどの濃い青紫色の花をつけ、葉は先が尖っています。仏沼では葉の先が丸みを帯びているナミキソウもありますがどちらも小群落を作り住み分けています。車道の脇でも両方の花が見られますが湿度の高い場所にはエゾナミキソウが多いようです。花期7〜9月。(文 三国 孝)

ハンゲショウ
半夏生

ドクダミ科ハンゲショウ属

27.jpg写真 久保清子

本州、四国、九州、沖縄の水辺や湿地で見られる草丈40〜70cmの多年草です。夏至から11日目の半夏生(7月2日頃)に緑の葉の先の方が半分白くなり花粉を運んでくれる虫を誘います。花は長さ10〜15cmの穂状で小さな白い花をたくさんつけ、はじめは垂れ下がっていますが後にまっすぐになります。半分白くなった葉も8月頃から緑色に戻ります。ドクダミ科なので独特の臭気が少しありますが、茶花として尊重され葉のようすからカタシログサ(片白草)という別名もあります。花期6〜8月。(文 三国 孝)

モウセンゴケ
毛氈苔

モウセンゴケ科モウセンゴケ属

28-1.jpg 28-2.jpg写真 久保清子

日本全土の日当たりの良い湿地に生える草丈15〜20cmの多年草です。食虫植物で、葉から粘液を出し虫を捕えます。葉は楕円形で5〜20mm、長い柄があり細かい毛が生えています。葉の間から花茎を出し、はじめはくるりと巻いていますが、直径1〜1.5cmの白い花が開くにしたがってまっすぐになります。花は片側にだけつきます。葉の赤い毛が毛氈のように見えるのが名前の由来です。花期6〜8月(文 三国 孝)

ミズトンボ
水蜻蛉

ラン科ミズトンボ属

29-1.jpg 29-2.jpg写真 久保清子

北海道から九州までの日当たりのよい湿地に生える草丈40〜70cmの多年草です。茎は三角形で長さ5〜20cmの葉が茎の下のほうに数枚つきます。花は緑白色で直径0.8〜1cm。花の下部につく唇弁という部分が三つに分かれ十字形に見え、距(きょ)が丸いことが特徴です。絶滅が心配されていますが仏沼では一部の水田の跡地にあります。花期6〜9月。(文 三国 孝)